遺伝子組み換え技術を利用した
品種改良が優れている点は、目的とする有用な形質だけを確実に導入できるという点です。
1994年に
遺伝子組み換え作物の第1号としてはじめて実用化された日持ちの良いトマト「フレーバー・セーバー・トマト」が発表されて以来、世界中で様々な
遺伝子組み換え作物が誕生しました。
現在、実用化されている
遺伝子組み換え作物には、害虫に強いトウモロコシ、除草剤をまいても枯れない大豆、色変わりカーネーション、
オレイン酸を多く含む大豆など、様々な種類のものがあります。いずれも
遺伝子組み換え技術によって、もとの作物に新しい特徴が加えられたものです。
なお、作物ではなく、
遺伝子組み換え微生物を用いて作られる
インスリンや
インターフェロンなどの医薬品や、バイオ洗剤などは既に広く実用化されています。
写真の左側の大きいトウモロコシが
遺伝子組み換え品種(
Btトウモロコシ)、右側の倒れて生育が悪いトウモロコシが従来の品種です。
Btトウモロコシの方が害虫の被害を受けずに、より大きく育っているのがわかります。
害虫
アワノメイガはトウモロコシの茎の中を食害する。トウモロコシは直立できずに茎が途中で折れてしまったり、生育が阻害されてしまう。
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米国では、毎年アワノメイガ(ヨーロピアン・コーンボーラー)という害虫によるトウモロコシの被害が発生し、多い時には50%を枯死させてしまいます。ヨーロピアン・コーンボーラーの幼虫は、トウモロコシの茎の中に入り込んでしまうために、殺虫剤も効きにくく、被害が甚大なものになってしまうのです。一方、Btトウモロコシを食べた幼虫は、Btタンパク質によって消化管にダメージを与えられて、餓死してしまいます。このため、農家にとっては農薬散布の手間が省けて、作業、コストとも減るというメリットがあります。
害虫抵抗性トウモロコシは、アメリカをはじめカナダ、アルゼンチン共和国、南アフリカ、スペイン、そしてフランスなどの世界各国で実用化されています。
10年間(1996~2005年)の
遺伝子組み換え作物栽培による農薬使用の減少(全世界)
害虫抵抗性作物のワタの写真です。
写真(右)の従来のワタは、害虫の被害を受けていますが、
写真(左)の
Bt遺伝子を組み込んだ品種はほとんど被害を受けていません。
ワタは非常に害虫の被害を受けやすい作物です。そのため、通常は、栽培期間中に複数回にわたって農薬を散布していました。
遺伝子組み換え作物の栽培によって、農薬の散布にかかる手間やコストを大幅に削減することが可能となりました。
Brookes, G. & Barfoot, P. (2006). Global impact of biotech crops: Socio-economic and environmental effects in the first ten years of commercial use.AgBioForum, 9(3), 139-151