遺伝子組み換え技術を利用した品種改良で優れている点は、特に二つあります。一つは、目的とする有用な形質だけを導入できるため、計画的・効率的な品種改良が可能となる点です。もう一つは、有用な遺伝子を活用できるチャンスが格段に広がったことです。これまでは、例えばトマトからトマトへと、交配できる品種間でしか遺伝子の受け渡しができませんでしたが、遺伝子組み換え技術を用いれば、種類の異なる生物から取り出した有用な遺伝子を品種改良に役立てることができます。
安価でより健康によく、消費者ニーズを満たす作物、より育てやすい作物、より環境にやさしい作物、さらには食糧問題や燃料問題の解決に貢献するひとつの方策として、マクロな面からも研究が進められています。
安価でより健康によく、消費者ニーズを満たす作物、より育てやすい作物、より環境にやさしい作物、さらには食糧問題や燃料問題の解決に貢献するひとつの方策として、マクロな面からも研究が進められています。
栄養価をより高める研究
遺伝子組み換え技術によって、ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養分を従来より多くの含んだ作物の研究がすすめられています。
世界中で約8.5億の人が栄養不足の状態にあるといわれており、多くの国で栄養不足が深刻な社会問題となっています。
例えば、ビタミンA欠乏症の人は世界で4億人いるといわれており、開発途上国ではビタミンA不足によって年間50万人もの子供たちが失明しているといわれています。このビタミンA不足の解消につながる開発として期待されているのが、βカロテン(ビタミンAの前駆体)を豊富に含む「ゴールデンライス」です。
ゴールデンライスを主食として食べることで不足しているビタミンAを今までより容易に補えます。
ゴールデンライスの研究にあたっては、技術や特許権などが複数の企業から無償で国際機関に提供され、企業と科学者たちが協力して開発を進めています。
日本では、鉄分を多く含むレタスの研究などもあります。
ビタミンA不足に貢献するゴールデンライス
世界中で約8.5億の人が栄養不足の状態にあるといわれており、多くの国で栄養不足が深刻な社会問題となっています。
例えば、ビタミンA欠乏症の人は世界で4億人いるといわれており、開発途上国ではビタミンA不足によって年間50万人もの子供たちが失明しているといわれています。このビタミンA不足の解消につながる開発として期待されているのが、βカロテン(ビタミンAの前駆体)を豊富に含む「ゴールデンライス」です。
ゴールデンライスを主食として食べることで不足しているビタミンAを今までより容易に補えます。
ゴールデンライスの研究にあたっては、技術や特許権などが複数の企業から無償で国際機関に提供され、企業と科学者たちが協力して開発を進めています。
日本では、鉄分を多く含むレタスの研究などもあります。
ビタミンA不足に貢献するゴールデンライス
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βカロテンを豊富に含むイネ。黄金色をしていることからゴールデンライスと名づけられた。開発途上国において深刻な問題であるビタミンA欠乏症の人々を救うために、企業や科学者が協力して開発に取り組んでいる。 さらに詳しく知りたい方 なぜなに?農業とバイテク>バイテク研究所>ビタミンA不足を解消する金色のおコメ |
健康増進により役立つ作物の研究
先進国では糖尿病や心疾患などをはじめとした生活習慣病が大きな問題となっています。生活習慣病はその名のとおり、食生活、ストレス、喫煙、運動不足などの日々の生活習慣と深い関わりがあり、予防の観点から食品の栄養素や機能性が注目されています。遺伝子組み換え技術によって果物や野菜に含まれる有用成分を強化する研究がすすめられています。たとえば、フラボノイドを強化したトマトでは糖尿病や心血管疾患のリスク低下が期待されています。
http://www.cbijapan.com/news/2006/n061110_1.html
http://www.cbijapan.com/news/2006/n061110_1.html
食物アレルギーなどのリスクを低減する研究
食物に含まれているアレルゲン(アレルギー反応を起こさせる原因物質)を摂取すると、アレルギー反応を起こす人がいます。食物アレルギーの症状は、じんましんやしびれなどさまざまですが、ときには死に至らしめるような重篤な症状が起こる場合もあります。
遺伝子組み換え技術を活用してアレルゲンを作物中に作らせないようにすれば、アレルギーのリスクを低減することができます。たとえば、コメアレルギーの人が、安心してコメを食べられるようになる日が来るかも知れません。
遺伝子組み換え技術によって、低タンパクのおコメをつくる研究もあります。お米に含まれるタンパク質の含有量を減らすことで、タンパク質のとりすぎに注意しなければならない腎臓病の人に適した品種を開発することができます。
遺伝子組み換え技術を活用してアレルゲンを作物中に作らせないようにすれば、アレルギーのリスクを低減することができます。たとえば、コメアレルギーの人が、安心してコメを食べられるようになる日が来るかも知れません。
遺伝子組み換え技術によって、低タンパクのおコメをつくる研究もあります。お米に含まれるタンパク質の含有量を減らすことで、タンパク質のとりすぎに注意しなければならない腎臓病の人に適した品種を開発することができます。
食べるワクチンを含む作物の研究
発展途上国では多くの乳幼児がジフテリア、破傷風、麻疹などの予防接種を受けられずに命を落としています。ユニセフによると、5歳未満で亡くなる乳幼児のうち、1日あたり3,800人の命はワクチンさえあれば守れる可能性があるとされています。
発展途上国におけるワクチン不足の原因は、ワクチンそのものが不足していることに加えて、ワクチンの輸送や保存のための特別な冷蔵設備が整っていないことが背景にあります。
そこで、遺伝子組み換え技術によって、冷蔵保存しなくても効果を維持することができる「ワクチンを含む作物」の開発が進められています。 ワクチンには注射により接種するものだけではなく、口から摂取して小腸上皮から作用し効果を発揮する「経口ワクチン」があります。そこで遺伝子組み換え技術を使って、この経口ワクチンとしての機能を持つ成分を作物中に作らせる研究が進められています。たとえばコレラワクチンの成分を含むコメやバナナ、ジャガイモなどの作物は、「食品と同じように食べられるワクチン」として開発が進められています。冷蔵整備がなくてもワクチン成分を含む作物を食べるだけで予防効果が得られたり、注射しなければ注射器を介した二次感染の心配もなくなるので、発展途上国においては特に有効な手段となります。遺伝子組み換え技術を使って作られる作物の中でも、今後の開発が期待される分野です。
医薬品成分をつくる作物の研究(植物工場)
インスリンやインターフェロンなどの医薬品が現在のように安定的、安価に供給できるようになった背景には、遺伝子組み換え技術の貢献があります。遺伝子組み換え微生物を使って製造できるようになったおかげで、これらの医薬品は多くの方の治療に広く活用されるようになりました。
現在は微生物ではなく、植物を使って医薬品成分を製造する研究が進められています。インスリンやインターフェロンをつくる遺伝子を植物に組み込めば、微生物をつかう従来の方法に比べて大幅に製造コストを下げられると期待されています。
植物を使って医薬品や工業製品を製造することを「植物工場」といい、植物工場のシステム確立して有用物質を作り出す本格的な研究が日本でも始まっています。
現在は微生物ではなく、植物を使って医薬品成分を製造する研究が進められています。インスリンやインターフェロンをつくる遺伝子を植物に組み込めば、微生物をつかう従来の方法に比べて大幅に製造コストを下げられると期待されています。
植物を使って医薬品や工業製品を製造することを「植物工場」といい、植物工場のシステム確立して有用物質を作り出す本格的な研究が日本でも始まっています。
花粉症を緩和するおコメの研究
スギ花粉症緩和米は遺伝子組み換え技術によって開発されたコメで、このコメを定期的に食べることにより、花粉症によるアレルギー反応を抑えることができるというものです。今や日本国民の5〜6人に1人がかかっているといわれる花粉症対策の一つとして、農林水産省などが積極的に開発を進めています。
その効果は、マウスを用いた動物試験では既に確認されており、ヒトへも応用できれば、注射や薬などによる治療に比べて手軽で負担が少なく、効果の高い治療が可能になると期待されています。
その効果は、マウスを用いた動物試験では既に確認されており、ヒトへも応用できれば、注射や薬などによる治療に比べて手軽で負担が少なく、効果の高い治療が可能になると期待されています。
安定した食糧供給に役立つ作物の研究〜食糧増産・飢餓に対する取り組み〜
戦後、「緑の革命」と呼ばれた多収量品種の栽培によって、世界の穀物生産は飛躍的に伸びました。1950年代には世界中で6億トンだった穀物生産量は年々増加して、2006年には21億トンになっています。しかし、地球温暖化による影響や、表土の流出による土地の砂漠化により耕作面積も減少するなどして、生産量は右肩上がりというわけにはいかなくなっています。その一方で、人口も増え続けており、今後私たちの食糧をどう確保するかという大きな課題が突きつけられています。
生産量を増すためには、品種改良や新たな栽培技術の開発などによって、これまで以上に単位面積あたりの収穫量を増やすことが有効な手段とみられています。遺伝子組み換え技術による品種改良は、例えば害虫に強い作物を開発することによって、病害虫による損失を抑えることができるため、安定した収穫量をあげることができます。
また、より多くの実をつける作物や、比較的短期間で実る作物を開発すれば、その分収量が増すなど、食糧増産の有益な手段のひとつと考えられています。 飢餓の原因は数多くあり、遺伝子組み換え技術だけで解決できる問題ではありません。けれども遺伝子組み換え技術は有益な手段のひとつであり、食料の分配や流通システムの改善といった努力と併せて用いられれば、飢餓や栄養不良の解決につながると期待されています。
生産量を増すためには、品種改良や新たな栽培技術の開発などによって、これまで以上に単位面積あたりの収穫量を増やすことが有効な手段とみられています。遺伝子組み換え技術による品種改良は、例えば害虫に強い作物を開発することによって、病害虫による損失を抑えることができるため、安定した収穫量をあげることができます。
また、より多くの実をつける作物や、比較的短期間で実る作物を開発すれば、その分収量が増すなど、食糧増産の有益な手段のひとつと考えられています。 飢餓の原因は数多くあり、遺伝子組み換え技術だけで解決できる問題ではありません。けれども遺伝子組み換え技術は有益な手段のひとつであり、食料の分配や流通システムの改善といった努力と併せて用いられれば、飢餓や栄養不良の解決につながると期待されています。
作物の品質の向上・低価格につながる研究
作物の品質を向上させて、食品加工や流通分野に貢献し、消費者に利益をもたらす遺伝子組み換え技術もあります。
たとえば日持ちのよいトマトが既に開発されていますが、畑で十分に成熟して着色したトマトを収穫しても日持ちするため、輸送中の腐敗や着色性のばらつきなどのロスが減ります。また加工するにしても、着色や成熟度のばらつきが少ない原料を供給できるため、生産効率も高まります。これは害虫抵抗性作物にもいえることで、Btトウモロコシは害虫による食害がないため、食害に起因して発生するカビ毒などのリスクが低減し、品質が向上していることがわかっています。
果実や野菜などは収穫後時間が経つにつれ、植物ホルモンの一種であるエチレンを放出して熟していきます。そこで、収穫後の作物の日持ちをよくするためにエチレンの合成を抑制したり、エチレン感受性を低くした遺伝子組み換え農作物の研究も行われています。
これらの遺伝子組み換え作物は、作物のロスや流通コストの低減に寄与することで低価格にもつながることが期待されます。
たとえば日持ちのよいトマトが既に開発されていますが、畑で十分に成熟して着色したトマトを収穫しても日持ちするため、輸送中の腐敗や着色性のばらつきなどのロスが減ります。また加工するにしても、着色や成熟度のばらつきが少ない原料を供給できるため、生産効率も高まります。これは害虫抵抗性作物にもいえることで、Btトウモロコシは害虫による食害がないため、食害に起因して発生するカビ毒などのリスクが低減し、品質が向上していることがわかっています。
果実や野菜などは収穫後時間が経つにつれ、植物ホルモンの一種であるエチレンを放出して熟していきます。そこで、収穫後の作物の日持ちをよくするためにエチレンの合成を抑制したり、エチレン感受性を低くした遺伝子組み換え農作物の研究も行われています。
これらの遺伝子組み換え作物は、作物のロスや流通コストの低減に寄与することで低価格にもつながることが期待されます。
不良土壌でも栽培できる作物の研究
栽培面積を増やせば作物を増産できますが、農業に適する土地は限られているため、世界の栽培面積はここ数十年間ほぼかわっていません。そのうえ近年は異常気象の頻発や砂漠化が進行して世界の食料供給に影響を与えています。
そこで、これまで農業ができなかった乾燥した土地などでも育つ作物を開発して、栽培可能な面積を増やそうとしています。
その他には、遺伝子組み換え技術で耐塩性を向上させ、塩害地でも栽培できる作物の研究などが行われています。
そこで、これまで農業ができなかった乾燥した土地などでも育つ作物を開発して、栽培可能な面積を増やそうとしています。
その他には、遺伝子組み換え技術で耐塩性を向上させ、塩害地でも栽培できる作物の研究などが行われています。
砂漠化、土壌汚染、地球温暖化などの環境問題に貢献する作物の研究
近年、地球温暖化対策として、CO2などの温室効果ガス排出量削の取り組みが始まり、この分野でも遺伝子組み換え技術が注目されています。
たとえば、遺伝子組み換え技術によって特定の除草剤に影響を受けない作物が広く栽培されていますが、雑草防除手段の一つである土壌耕起に使用するトラクターなどによるCO2排出量が減らせる上、土壌や水質の保全にも貢献しています。また、CO2吸収能力の拡大と作物の増産の両方が期待される光合成能力を高めた作物の開発が進められています。さらに、乾燥や高温といったストレスに耐性を持たせ、野生の植物では枯れてしまうような過酷な条件下でも生存できる植物の開発も進められ、砂漠緑化への期待も寄せられているのです。
たとえば、遺伝子組み換え技術によって特定の除草剤に影響を受けない作物が広く栽培されていますが、雑草防除手段の一つである土壌耕起に使用するトラクターなどによるCO2排出量が減らせる上、土壌や水質の保全にも貢献しています。また、CO2吸収能力の拡大と作物の増産の両方が期待される光合成能力を高めた作物の開発が進められています。さらに、乾燥や高温といったストレスに耐性を持たせ、野生の植物では枯れてしまうような過酷な条件下でも生存できる植物の開発も進められ、砂漠緑化への期待も寄せられているのです。
環境浄化にも活用
環境問題を解決するバイオテクノロジー技術のひとつとして、遺伝子組み換え技術は期待されています。
たとえば大気中や土壌中のダイオキシン類などの汚染物質を吸収したり、分解したりする遺伝子組み換え樹木の研究が行われています。
アブラナ科の植物はもともと重金属をよく吸収することが知られていますが、遺伝子組み換え技術によってこの性質をさらに高めて、重金属に汚染されてしまった土を浄化する研究もあります。
リンを吸収・蓄積する能力を高めたトレニアによって、生活排水などの流入でリンや窒素が豊富になり過ぎた湖沼の水質を浄化する研究や、環境の汚染度を花の色の変化で知らせるペチュニアなども開発されています。これらは花が環境美化にも役立つため、実用化が期待されています。
このように植物を用いて環境を浄化していくような技術を「ファイトレメディエーション」と呼び、遺伝子組み換え技術が大きく貢献すると考えられます。
たとえば大気中や土壌中のダイオキシン類などの汚染物質を吸収したり、分解したりする遺伝子組み換え樹木の研究が行われています。
アブラナ科の植物はもともと重金属をよく吸収することが知られていますが、遺伝子組み換え技術によってこの性質をさらに高めて、重金属に汚染されてしまった土を浄化する研究もあります。
リンを吸収・蓄積する能力を高めたトレニアによって、生活排水などの流入でリンや窒素が豊富になり過ぎた湖沼の水質を浄化する研究や、環境の汚染度を花の色の変化で知らせるペチュニアなども開発されています。これらは花が環境美化にも役立つため、実用化が期待されています。
このように植物を用いて環境を浄化していくような技術を「ファイトレメディエーション」と呼び、遺伝子組み換え技術が大きく貢献すると考えられます。
家畜のエサに適した作物の研究
現在、栽培されている遺伝子組み換え作物には、大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイなどがあり、これらは飼料用途でも広く利用されています。
遺伝子組み換え技術を用いて、家畜の筋肉の発達に必要なアミノ酸を多く含むトウモロコシ、家畜用のワクチン成分を含み病気を予防する効果のある牧草などの開発がすすめられています。エサとしての機能性を高めたり、より安価なエサの製造に貢献すると期待されます。
日本では、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンを多く含む飼料用イネなどの研究も進められています。
遺伝子組み換え技術を用いて、家畜の筋肉の発達に必要なアミノ酸を多く含むトウモロコシ、家畜用のワクチン成分を含み病気を予防する効果のある牧草などの開発がすすめられています。エサとしての機能性を高めたり、より安価なエサの製造に貢献すると期待されます。
日本では、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンを多く含む飼料用イネなどの研究も進められています。
注目されている工業分野の研究
遺伝子組み換え技術は、工業分野でも注目されています。生分解性プラスチックの製造においても、遺伝子組み換え技術の活用が期待されます。生分解性プラスチックは、廃棄後に自然環境下で微生物や酵素などによって分解されてしまう期待の新素材です。トウモロコシからデンプンを取り出し、微生物による醗酵、工業的な重合過程を経て製造されます。そこで遺伝子組み換え微生物や植物を活用して、より効率よく製造する方法が研究されています。
バイオ燃料の生産に適した作物の研究
石油や石炭などの限りある化石資源に代わるエネルギー源として、トウモロコシやサトウキビなどから作られるバイオ燃料を利用する取り組みが世界的に進められています。
しかし、トウモロコシなどの作物は食料や飼料としても重要なため、食用とバイオ燃料用の両方の受容を満たすことを目指した研究が行われています。この研究においても、遺伝子組み換えがブレークスルーになると考えられています。
一つは、葉や茎にエタノール原料であるセルロースの含有量を増やす研究です。実の部分はこれまでどおり食用にまわし、これまで廃棄処分されていた芯などの繊維部分をバイオ燃料の製造にと使い分けることができます。また、より効率的に生産するために、バイオエタノールの製造に適した品種の開発がすすめられています。トウモロコシからバイオエタノールをつくる場合にはデンプンを糖に分解する酵素を加えなければなりません。そこで、遺伝子組み換え技術によってトウモロコシに酵素をつくる遺伝子を組み込み、自分で酵素を作ることができる品種が開発されました。酵素を加える手間やコストを省くことができると期待されています。
しかし、トウモロコシなどの作物は食料や飼料としても重要なため、食用とバイオ燃料用の両方の受容を満たすことを目指した研究が行われています。この研究においても、遺伝子組み換えがブレークスルーになると考えられています。
一つは、葉や茎にエタノール原料であるセルロースの含有量を増やす研究です。実の部分はこれまでどおり食用にまわし、これまで廃棄処分されていた芯などの繊維部分をバイオ燃料の製造にと使い分けることができます。また、より効率的に生産するために、バイオエタノールの製造に適した品種の開発がすすめられています。トウモロコシからバイオエタノールをつくる場合にはデンプンを糖に分解する酵素を加えなければなりません。そこで、遺伝子組み換え技術によってトウモロコシに酵素をつくる遺伝子を組み込み、自分で酵素を作ることができる品種が開発されました。酵素を加える手間やコストを省くことができると期待されています。
紙の需要を支えるパルプ用樹木の研究
世界の人口は、今後ますます増加すると予測されており、現在の65億人から2050年には1.4倍の91億人に増加すると見通されています。より多くの食料を生産するために農地を確保する必要があります。その結果、植物の生育に適している土地は、優先的に農地として利用され、製紙用の植林地を確保することが困難になる可能性があります。そこで、遺伝子組み換え技術を活用して、パルプを安定的に確保するための研究が行われています。たとえば、塩害や酸性土壌などの植物の生育に適さない不良土壌でも生育できる、環境ストレスに強いユーカリの開発がすすめられています。また、パルプ収量の多いユーカリやポプラなどの開発もすすめられています。パルプを精製する際の消費エネルギーが少なくすみ、樹木の成長が早くCO2吸収能力も大きいため、地球温暖化の防止にも大きく貢献するものと期待されています。




