遺伝子組み換えというと、どんなことがおこっているとイメージしますか?
「いろいろな遺伝子をシャッフルしているの?」
「そもそも、人の手を加えるなんて、とんでもないことがおこるんじゃないの?」 遺伝子は生物の設計図といわれる大切なものですから、遺伝子を扱う技術について、なんとなく心配に思われることでしょう。

遺伝子や生き物の仕組みについては、まだまだ未知の部分がたくさんあります。
でも、一歩一歩、地道な研究の積み重ねと、科学の進歩によって、遺伝子がどのようなものなのか、どんなことをしているのか解明されてきました。そして、知れば知るほど、生物は実に巧みな技を持っていたり、すばらしい能力を秘めていることがわかってきました。

そこで、せっかく生物がすばらしい能力を持っているのなら、その持っている力を活かして、より良いくらしや、食生活、環境づくりに役立てていきたいという考えの下に生まれてきたのが、バイオテクノロジーです。
ここでは、その中でも遺伝子の働きに着目した遺伝子組み換え技術について、どのような技術なのか簡単にご紹介します。

01. 遺伝子ってなに?

1.遺伝子タンパク質をつくっています。
遺伝子は生物の形や性質を決める大切なものですが、遺伝子の主な仕事は、「タンパク質をつくること」と、いたってシンプルです。
2.遺伝子細胞の中にあります。
遺伝子は、DNAという細くて長い物質からできています。DNAには「A」「T」「G」「C]4種類の化学物質(塩基)が並んでいます。
3.遺伝子からタンパク質がつくられます。
A、T、G、Cの並び方に従って、アミノ酸の種類が決まります。
アミノ酸が順番につながって、タンパク質がつくられます。
つまり遺伝子は生物の形や性質を決めている個々の特定のタンパク質をつくる設計図のようなものです。
4.細胞の中には、いろいろな遺伝子があって、いろいろなタンパク質がつくられています。
1つの細胞の中に、例えばイネなら4万もの遺伝子があります。
それぞれの遺伝子の仕事は決まっていて、「病気に強くなる」タンパク質や、「実をたくさんつける」ようになるタンパク質など、いろいろな働きのタンパク質がつくられます。
5.タンパク質の働きでいろいろな性質が決まります。
「病気に強くなる」タンパク質がつくられれば、その生物は病気に強くなります。
また、「実を沢山つける」というタンパク質がつくられれば、実を沢山つけるようになります。
こうして、どんな遺伝子を持っていて、どんなタンパク質がつくられるかによって、生物の性質は決まるのです。

02. 遺伝子を組み換えるってどういうこと?

1.「組み換える」というより、遺伝子を「付け加える」技術です。
遺伝子組み換え技術は、実際には遺伝子を「付け加える」技術です。
2.「組み換える」というより、遺伝子を「付け加える」技術です。
動物や植物のDNAのうち、遺伝子の部分はごくわずか。たとえばヒトの場合、遺伝子は5%程度で、「すきま」がたくさんあります。
3.遺伝子を付け加えると、新しいタンパク質がつくられます。
そこで、遺伝子組み換え技術で、例えば「害虫に強くなる遺伝子」を付け加えると、どうなるでしょう?
「害虫に強くなるタンパク質」がつくられます。
4.新しいタンパク質の働きで、新しい性質が加わります。
その結果、害虫に強いタンパク質の働きで、その生物は害虫に強くなるのです。
5.いろいろな性質を持たせることができます。
除草剤の影響を受けないタンパク質をつくる遺伝子を付け加えれば、除草剤をまいても枯れない農作物をつくることもできます。
遺伝子組み換え農作物では、新しい遺伝子が付け加えられた結果、新しいタンパク質 がつくられて、この新しいタンパク質のおかけで、新しい性質を持つようになります。

03. いままでの農作物とどうちがうの?

1.新しいタンパク質がつくられています。
遺伝子組み換え農作物は、遺伝子を組み換える前の農作物とどこが違うのでしょう?
新しく付け加えた遺伝子によって、新しいタンパク質がつくられている点が違います。
2.タンパク質は食べると消化されてしまいます。
どんなタンパク質がつくられているのかは、あらかじめわかっているので、この新しくつくられたタンパク質が毒性を持たないか、食べた後ちゃんと消化されるかどうかはきちんと調べられています。
3.新しいタンパク質がつくられたこと以外に変わりがないか確認しています
また、遺伝子を付け加えたことによって、もとの生物のからだの仕組みを混乱させてしまうようなことがあってはいけません。例えば、これまでは働いていた遺伝子の邪魔をしていないか調べます。
新しいタンパク質がつくられる以外に、予定以外の変化がおこっていないことが確認されています。

04. 食べても大丈夫なの?

1.これまで食べてきた食べ物と同じように安全かどうか、必ず流通される前に確認しています。
(1)チェック
遺伝子組み換え技術によってつくられた新しい農作物は、これまで食べてきた農作物と同じように安全かどうか、必ず前もって確認をしています。

(2)提出
そして、本当に問題がないかどうか、国にも確認してもらいます。

(3)審査
国が依頼した専門家のグループによって徹底的に調べられて安全の確認がなされます。

(4)公表
その結果は広く公表され一般からも意見を求めます。

(5)承認
その結果、安全性に問題がないと認められたものだけが、栽培したり、食品として利用したりしても良いと国によって許可されます。

(6)流通
私たちの口にする遺伝子組み換え食品は全て、国による厳しい審査を受けて、承認されたものです。
環境にも、人にも、そして家畜などにも安全なことがきちんと確認されています。

05. アレルギー体質の人でも大丈夫なの?

1.アレルギーについては特に慎重に調べています。
遺伝子を組み換えたら、アレルギーを引きおこすようになってしまったということになっては大変です。 ですから、アレルギーについては特に慎重に調べています。ひとつの試験で結論を出すのではなく、いろいろな角度から検討して、安全性を確認しています。
2.すでに知られているアレルギーの原因物質と似ていないか調べます。
花粉やダニなどを含めた、これまでに知られているあらゆるアレルゲンと比べて似たところがないかを確認します。アレルゲンはデータベースに登録されていますが、その数は現在では660近く(2003年調べ)に及び、このすべてと比較を行います。
3.胃腸で消化されるか調べます。
また、アレルゲンは胃や腸で消化されにくい傾向があります。そこで、遺伝子組み換え食品で新しくつくられたタンパク質が、胃や腸で速やかに分解されるかどうか確認します。普通、食品は数時間は胃の中に留まっていますが、遺伝子組み換え食品の審査では、数十秒、数分というレベルで分解されることが求められます。
他に、アレルゲンは熱に強いので、熱に弱いかどうかなども確認されます。
さらに、遺伝子を組み換える前の食品に、もともとアレルゲンが含まれている場合、遺伝子を組み換えたことによって、アレルゲンの量が増えていないか調べられています。