遺伝子組み換え作物が環境に与える影響について、従来の作物と比べて同程度かどうか、事前に確認を行っています。そのデータは農林水産省によって審査され、確認されています。
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遺伝子組み換え作物の開発は、初めは空気や水の出入りさえも管理された実験室内で研究を進めていき、安全性を確認しながら、徐々に規模を拡大していきます。
環境への影響は、農林水産省によって定められた「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に基づいて確認を行います。フェンスなどで外界と仕切られた隔離ほ場において試験的な栽培を行ない 、
- 従来の作物と生育特性に変化がないか
- 花粉が飛んで近縁種の植物と交配した結果、遺伝子を受け取った植物が日本の固有種を駆逐してしまわないか
- 雑草化しないか
- 害虫抵抗性作物の場合には非標的生物に影響を与えないか
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等を調べます。そのデータから、遺伝子組み換え作物が環境に与える影響は、従来の作物と同程度であることを確認しています。
また、国内で栽培する予定がなく、食品や飼料、加工用に使用する目的で輸入される遺伝子組み換え作物についても、日本の環境へ与える影響についてカルタヘナ法に基づいて事前に確認を行っています。
一方、遺伝子組み換え技術を用いて、環境問題を解決するためのさまざまな研究や開発も行われています。たとえばアブラナ科の植物にはもともと重金属を吸収する能力があることが知られていますが、この技術によって重金属をさらに効率よく吸収できるような作物に改良することで、汚染された環境を修復しようとする取り組みが行われています。このように生物が本来持つ化学物質の分解能力や浄化能力を用いて、環境問題に貢献するような作物の開発が期待されています。
生物多様性影響評価
環境浄化にも活用
害虫抵抗性の
遺伝子組み換えトウモロコシには、バチルス・チューリンゲンシス(
Bt)という微生物から取り出した
Btタンパク質が含まれています。
今からおよそ70年前に日本の科学者によって、土の中にいる微生物
Btに特定の害虫を殺す性質があることが発見され、微
生物農薬として長年利用されてきました。この
Btがつくる
Btタンパク質は、鱗翅目(チョウやガなど)全体に対して効果があります。そこで
遺伝子組み換え作物の開発にあたっては、標的害虫以外のチョウやガなどの生態に影響を与えないか確認しています。
特定の殺虫剤を使用し続けるうちに害虫の抵抗力が増すことがあります。これと同様に、
害虫抵抗性の
遺伝子組み換え作物を栽培し続けるうちに、抵抗力が増した害虫が発生しても、拡散しないように適切な害虫管理プログラムが実施されています。その結果、
害虫抵抗性作物が栽培されてから10年以上たちますが、害虫の抵抗力が増したという報告はこれまでにありません。
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害虫に強い遺伝子組み換えトウモロコシ(Btトウモロコシ)には、Btタンパク質を作る遺伝子が組み込まれていますので、Bt作物の大規模栽培によってBt耐性昆虫が出てくることを懸念する声もあります。そこで、米国では開発企業が、Bt耐性昆虫の発生を遅らせるプログラムの実施を農家に推奨し、このプログラムがきちんと実行されるように指導を行っています。プログラムでは、Btトウモロコシを栽培している畑の隣接地には、決まった面積の非遺伝子組み換えトウモロコシを植えたり、耐性害虫の出現を定期的にモニタリングしたりするものです。
米国では、開発企業と農家、地方の試験場が一体となって、プログラムがきちんと守られているか、耐性害虫の発生が抑えられているか確認を行っています。
除草剤の影響を受けない
遺伝子組み換え作物を栽培する目的は、散布する農薬の種類や回数を減らし、除草の手間を省き、除草にかかるコストを削減することです。除草剤をたくさん撒いて、使用量が増えるのではないかという懸念の声を聞くことがありますが、決してそのようなことはありません。
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農業とは病害虫と雑草の戦いとよく言われますが、特に雑草を防除するには大変な労力がかかります。畑にはいろいろな種類の雑草がでてきますが、除草剤によって、効果のある雑草が異なります。このため農家は、通常は、その畑の雑草の発生にあわせて幾つかの除草剤を組み合わせて、しかも最も効果を発揮する時期を選んで散布しなければなりませんでした。除草剤の中には一剤で全ての雑草に効果を発揮するものもありますが、こうした除草剤は作物にも影響を与えてしまうという欠点があり、これまでは畑の中で使うことができませんでした。
しかし除草剤耐性大豆の場合、育てている大豆には影響を与えずに、一種類の除草剤だけで、除草剤の散布は通常1~2回に抑えることができます。
大豆が膝下程度の背丈に成長した頃に除草剤を散布すると、除草剤の影響を受けない大豆は枯れずに生育できますが、雑草は枯れてしまいます。このとき既に大豆はある程度成長していて、葉も茂っているので、地表部は日光が遮られています。そのため、新たに雑草が生育することができないので、それ以上除草剤を撒く必要がないのです。
むしろ、除草剤の影響を受けない遺伝子組み換え作物の栽培によって、世界的な除草剤の使用量が減ったことが報告されています(出典:Brookes, G. & Barfoot, P. (2006). AgBioForum, 9(3), 139-151 http://www.agbioforum.org)。
基本情報>GMの安全>性除草剤の影響を受けない作物
米国では2006年に、
遺伝子組み換え作物面積が前年より12.7%増加し、
遺伝子組み換えでない作物を栽培したときと比較し、農薬の使用量は5万トン減少し、生産量は353万トン増加したという実績をあげています。また、除草剤の影響を受けない
遺伝子組み換え作物は、米国で深刻な環境問題になっている土壌浸食をくい止めることにも貢献しています。
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害虫抵抗性作物は農薬の削減に大きな効果
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遺伝子組み換え作物は、商業栽培される前に環境影響が従来の作物と同程度であることが確認されています。実際に商業栽培を行った結果を分析してみると、従来の作物よりも、むしろ遺伝子組み換え作物を栽培したほうが環境負荷が少ないことが以下のようなデータで示されています。
食糧・農業政策ナショナルセンター(NCFAP)は、2006年に米国で栽培された遺伝子組み換え作物(大豆、ワタ、トウモロコシ(デントコーン)、スイートコーン、ナタネ、パパイヤ、スクワッシュおよびアルファルファの8作物、13品種を対象に、その影響や効果を調べました。その結果、遺伝子組み換え作物の栽培面積が前年比12.7%増えて6,250万ヘクタールで栽培され、農薬の使用量が約5万トン減少したことが明らかになりました。2001年の調査開始以来、栽培面積の拡大と農薬使用量の削減の傾向は続いており、農作業のコストの削減や環境的なメリットから、生産者が栽培を継続して選択していると推測されます。
http://www.cbijapan.com/news/2009/n090226a.html
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除草剤耐性作物は土壌浸食の防止に貢献
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米国における環境問題の一つに「土壌侵食」があり、風雨などによって肥沃な表土が失われると、農業生産に深刻な被害を与えます。栽培方法は土壌侵食を促進する要因となるため、米国ではより環境に優しい農法として不耕起栽培(耕さない農法)が推奨されています。耕さなければ、表面の肥沃な土壌の浸食が軽減されるためです。従来は、耕さないと雑草の管理が難しくなるという問題点があったのですが、除草剤耐性の遺伝子組み換え作物を栽培すれば、雑草管理が容易になるため、農家は不耕起栽培に取り組みやすくなりました。さらに不耕起栽培は、耕作機の燃料使用量の減少と、二酸化炭素など温室効果ガスの大気中への放出も抑えられるので、地球温暖化の抑制にもつながります。不耕起栽培に適している遺伝子組み換え作物は、より環境にやさしく、持続可能な農業に貢献すると考えられています。
http://www.cbijapan.com/l_condition/index.html#02
食品加工用に輸入される
遺伝子組み換えナタネの環境に対する安全性は、栽培を目的とする場合とほぼ同程度の評価が事前に行われ、確認されています。
遺伝子組み換えナタネ(セイヨウナタネ)と
交雑可能で、日本の自然環境下で自生している種として、在来ナタネやカラシナなどがありますが、これらは全て外来種であり、生物多様性影響を受ける可能性のある野生植物とはみなされておりません。
種子を取り扱うメーカーは、種子の状態で輸入されたナタネが、輸送中などにこぼれないように管理をしていますが、万が一こぼれた種子が発芽しても、それが繁殖して日本の固有植物や動物の生育を脅かすことはありません 。
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環境に対する安全性もあわせて調べられています
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ナタネ油は現在、日本で最も多く生産されている植物油で、サラダ油として広く利用されています。原料のナタネ(セイヨウナタネ)の種子は、大型船で輸入され、搾油工場に運ばれて油が搾られます。商社や加工メーカーは、輸送中に原料がこぼれないように厳重な管理をしていますが、ナタネの種子はゴマ粒程度でたいへん小さいこともあり、稀に運搬中にこぼれ、こぼれた種が港の周辺や運送トラックが通った街道沿いで発芽してしまうことがあります。
輸入されるナタネには遺伝子組み換え品種も含まれていますが、遺伝子組み換えナタネについては、食品や飼料としての安全性のみならず、環境への安全性(生物多様性影響がないこと)も事前にしっかり調べられたうえで輸入されています。
生物多様性影響評価において、遺伝子組み換えナタネが従来のナタネと比較して交雑性や種子の生産量を高めることはないこと、仮に交雑した場合でも、日本の生物多様性に影響を及ぼさないことが評価されています。
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花粉の影響や交雑性についても確認されています
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遺伝子組み換え作物の環境安全性は、その花粉が飛んで近縁種と交雑して影響を及ぼさないことも調べられて確認されています。
セイヨウナタネと同じアブラナ属の植物には、在来ナタネやセイヨウカラシナなどがあり、春先に道端や土手などで目にする、「菜の花」の多くはセイヨウカラシナです。遺伝子組み換えセイヨウナタネの花粉が飛んで、近縁の在来ナタネやカラシナと交雑することは起こりうることですが、その結果できた交雑種が優占化したり、組み込まれた遺伝子が拡がって日本の環境を脅かすようなことはありません。
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事前の厳密な評価と、流通後の適切な管理で安全性を確保
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ナタネだけではなく遺伝子組み換え作物の環境に対する安全性は、法律(カルタヘナ法)に基づく調査審議を経て確認され、国による承認を得たうえで商業利用されています。
安全性審査の際には、遺伝子組み換えナタネの性質や、実際の利用方法などを踏まえ、あらゆる可能性を想定して調べられています。万が一にも日本の環境に影響を及ぼさないことを確認するために、事前に厳しいリスク評価を行っているのです。
流通後の管理についても、取扱企業はこぼれ落ちをふせぐ対策を講じたり、輸入港や工場周辺などで自生しているナタネがないか監視し、除草を徹底するなど、いっそうの強化を図っています。
また、農林水産省では、状況の把握のために輸入港周辺のモニタリング調査を行っていますが、遺伝子組み換えナタネが生育したとしても、競合により周辺の種を駆逐し、生育域を拡大する可能性は考えにくいとしています。
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/090304_1-01.pdf
遺伝子組み換え作物の普及により、栽
培地の気候条件やニーズに合った多くの品種が開発されています。従来の栽培品種の選択と同様に、生産者は、それぞれの気候やニーズに合った品種を選択できるため、1つの品種のみが栽培されることはありません。よって、単一栽培によって品種の多様性が失われたり、気候変動や病害虫の発生で作物が全滅するリスクが高まることはありません。
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遺伝子組み換え作物にも多様な品種があります
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作物には多くの品種が存在します。例えばトウモロコシでは、デント種やスイート種、ポップ種など特徴によって異なる種があり、さらに用法や栽培環境などに対応した特性を持つ数多くの品種が存在しています。同様に、遺伝子組み換えトウモロコシにも、栽培地域の気候風土やニーズに適した品種が開発され、既に多く存在しています。なお、遺伝子組み換えとは品種改良のための技術のひとつのことで、「遺伝子組み換え」という1つの品種があるわけではありません。現在、厚生労働省で流通が認められている遺伝子組み換えトウモロコシは主に飼料用の「デント種」のものですが、同じ「デント種」であっても様々な品種の遺伝子組み換えトウモロコシがあるのです。
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生産者はニーズに合った品種を選択して栽培しています
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1つの作物において、1つの品種を大規模に栽培することは「単一栽培」と呼ばれ、品種の多様性が失われて気候変動や病害虫の大量発生で全滅したりする恐れがあることが指摘されています。生産者は、多様な作物品種の中から、それぞれの地域やニーズにあった品種を選んで栽培しますので、1つの生産者だけをみれば、栽培する品種は限られたものになると言えるでしょう。しかし、広い範囲で見れば、各地域の気候風土や食文化、消費者の嗜好等によって、様々な生産者が様々な品種を選択して栽培していますので、1つの品種のみが単一栽培されることはありません。遺伝子組み換え作物も同様に、生産者は多くの品種の中から、栽培条件やニーズに適した品種を選択するため、1つの品種のみが栽培されることはありません。
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このように、遺伝子組み換え作物の品種も従来品種と同様に多様であるため、遺伝子組み換え作物が普及したことにより単一栽培がすすみ、品種の多様性が失われることはありません。また、環境や病害虫への反応もそれぞれ異なるため、気候の変動や病害虫の大量発生などで、特定の作物が全滅してしまうことはないと考えられます。