1食品の安全性の考え方
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◆食の「安全」と「安心」
このところ食品の産地偽装や期限表示の偽装、輸入食品の問題などが相次いで起こり、食品の安全性についての消費者の関心はますます高まっています。
食品の「安全」について考える際に、かならず登場するキーワードが「安心」です。「安全」と「安心」ということばから、同じような感じを受けるかもしれません。しかし、この二つはイコールではなく、分けて考える必要があります。
「安全」は、科学的・客観的に評価できる問題です。リスク評価の結果、リスクは無視しうるぐらいに少ないことをいいます。
「安心」は、心理的・主観的な問題であり、「信頼できる気持ち」や「不安がない」といった精神状態をしめすものです。
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◆どのような食品にもリスクがある
リスクとは危害が生じる確率のことで、それだけで危険であるということではありません。FAO/WHOの専門家会議またはCODEXの勧告によると「リスクとは、食品中にハザード(危害)が存在する結果として生じる健康への悪影響の起こる確率とその程度の関数である」と定義されています。
食品にはある程度のリスクが存在し、リスクが0か100ということはありません。科学的な審査を経て、安全性が確認されている食品でも、リスクがない(ゼロリスク)ということはありません。
リスクに対するとらえ方や反応は、個人によって異なるため「安心」という気持ちは得られないこともあります。そこで安全と安心を少しでもつなげるために、リスクコミュニケーションという情報伝達が求められます。絶対的にいいか、絶対的に悪いか、どちらかに話が分かれてしまわないよう、科学的な話をわかりやすく、きちんと伝えることが必要になっているのです。
食品の安全性に関するリスクコミュニケーションの取り組みは、食品を扱う事業者、行政、研究者などがそれぞれの立場から、時には連携して情報を発信するなど、だんだんと広がりをみせています。
2 遺伝子組み換え農作物の安全性評価
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◆品種改良でも常に遺伝的な変化は起こっている
私達が毎日食べている様々な農作物は、人類が農耕を始めて以来ずっと品種改良を重ねてきたものです。品種改良によって新たにできた農作物は、両方の親からもらった遺伝子が組み換わっており、常に遺伝的な変化が起こっています。これらの農作物の安全性については、一つひとつが科学的に検証・証明されたものではありませんが、長年の育種経験と食経験によって安全とみなされ私達の食卓に上ってきました。
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◆遺伝子組み換え農作物のリスク評価をどう考えるか
遺伝子組み換え農作物の研究が始まった1970〜80年代にかけて、その安全性について考えようということになったとき、初めて科学者は「農作物の安全性をどのように評価するか」という課題に直面することになりました。
化学物質の安全性は、一つの物質を実験動物に大量に食べさせて、どのくらい食べたらどのような毒性を引き起こすのかについて判断することができます。しかし食品には様々な栄養素や抗栄養素が含まれていて、それだけを実験動物に大量に食べさせると、栄養が偏ってしまい、動物が生育せずに正しい実験が行えないということがあります。ですから従来の化学物質の評価における考え方を、そのまま遺伝子組み換え農作物の評価に適用することはできませんでした。
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◆これまで食べてきた食品と比べて、安全性を確認する
現在食べている農作物でも、中には有害成分が含まれていることもあり、これらは科学的分析によって100%の安全性を証明することはできません。このため、遺伝子組み換え農作物が安全かどうかを考えるとき「私達がいままで食べたり、利用してきた従来の農作物と、遺伝子組み換え技術を用いた農作物とをいろいろな面から比べて、従来の農作物と同じように食べても安全とみなすことができるかどうかを評価する」ことが、国際的な議論の中でまとめられました。
つまり、これまで食べてきた食品をお手本に、安全性を評価しようというもので、このような考え方は、国際的に共通の概念となっています。遺伝子組み換え農作物はこの考え方に沿って、各国政府が定めた基準に従い、前もって安全性の確認が行われます。
3 安全性評価のために開発者は何を行っているか
◆導入された遺伝子がきちんと働いているか
遺伝子組み換え農作物は、導入された遺伝子によって新たにタンパク質が産生されたり、農作物がもともと持っている酵素の働きを抑制することによって、目的とした性質を農作物に加えるものです。導入された遺伝子は、その由来と構造が明らかなものだけが用いられており、それによって作られるタンパク質や機能についてもあらかじめ分かっています。
これを踏まえたうえで、安全性評価の第一段階では、目的とする遺伝子がきちんと導入されて、目標が達成されたかどうか、確認試験を行います。開発初期のこの段階で、目的が達成されなかったことが判明したものは、ふるい落とされます。
また、選抜された組み換え体について、その主要および微量成分の分析を行い、目的以外の成分が、増えたり減ったりしていないことを確認します 。
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◆新たにできたタンパク質の安全性について
さらに、導入された遺伝子によって新たに作られたタンパク質の安全性を評価します。まず、新しく組み込まれたタンパク質がアレルゲン(アレルギーの原因)にならないか、現在の科学技術を総動員して、特に念入りに調べられています。 私たちは食事を通して、何十万種類のタンパク質をとっていますが、そのすべてがアレルゲンとなるわけではありません。安全性評価の中で、現在アレルゲンとわかっているタンパク質とは類似点がなく、他の何十万種類のタンパク質と同程度に安全だと結論された場合のみ、商品化されることになります。さらに急性毒性については、加熱によって変性するか、胃腸中の消化液で短時間に分解するかを確認し、念のために、マウスを用いて急性毒性試験を行うこともあります。
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◆環境安全性についても確認
遺伝子組み換え農作物の栽培が、従来の農作物を栽培した場合と比べて、環境に与える影響が同程度かどうか、事前に確認を行っています。そのデータは農林水産省および環境省によって審査され、確認されています。遺伝子組み換え農作物の開発者は、初めは空気や水の出入りさえも管理された実験室内で研究を進めて、安全性を確認しながら徐々に規模を拡大していきます。さらに、生物多様性(環境)に対する影響については、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」に基づいて確認を行います。(詳細については環境Q&Aをご参照ください)
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◆審査を経て安全性が承認されて初めて、商品化が可能になる
このように遺伝子組み換え農作物の開発にあたっては、商品化前に科学的根拠に基づいて多項目に及ぶ安全性評価試験が開発者によって行われ、その後、国によって審査が行われます。この安全性審査によって承認されてはじめて、栽培、食品、飼料としての利用が許可されます。
→遺伝子組み換え作物の安全性評価の仕組み



