米国 カナダ ブラジル アルゼンチン共和国 大韓民国 オーストラリア連邦・ニュージーランド EU(欧州連合) オーストラリア連邦・ニュージーランド 中華人民共和国 インド

米国

2008年には世界の遺伝子組み換え作物のうち50%が米国で栽培されており、最大の遺伝子組み換え作物の栽培国です。(ISAAA http://www.cbijapan.com/news/2009/n090213.html)。  また、2008年に米国で栽培される大豆の92%が遺伝子組み換え品種です。同様に、ワタは86%、トウモロコシは80%が遺伝子組み換え品種です。 米国では食品や食品添加物の安全性について、FDA(米国食品医薬品庁)が、審査を行っています。安全性審査を受けることは法的には義務付けられていませんが、商品化にあたってはFDAに事前に通知することや、資料を提出することが求められています。 また、環境に与える影響についてはUSDA(米国農務省)が確認しており、害虫抵抗性作物についてはEPA(環境保護局)の認可も必要です。


【表示】
従来のものと同等であるという観点から、遺伝子組み換えに関する表示は義務付けられてはいません。従来のものと著しく組成・栄養に変化がある場合には、その成分を表示します。 米国の表示制度は、「遺伝子組み換え作物を使っていません」と表示することによって、"組み換えではないほうが優良である"との誤認が生じることは望ましくないという考えに基づいています。もし、「遺伝子組み換え作物を使っていません」と表示するなら、それが虚偽ではなく、誤解を与えないことを立証できることが条件となっていますので、基本的に「組み換え不使用」等の表示はできません。遺伝子組み換えに関する表示をする場合は「derived through biotechnology (バイオテクノロジーを使用)」や「bioengineered (バイオ技術適用)」という表現が望ましいとされています。

カナダ

2008年、世界第5位の遺伝子組み換え作物の栽培国で、遺伝子組み換えナタネ、トウモロコシ、大豆およびテンサイを計760万ヘクタールにわたって栽培し、世界の遺伝子組み換え作物のうち6%を生産しています。安全性については、ヒトや動物、そして環境に対する安全性を検討評価した上で認可されます。カナダ食品検査庁(CFIA)は、環境への安全性を評価し、遺伝子組み換え品種も含めすべての新規作物の隔離圃場試験を規制しています。カナダ保健省(HC)は、食品医薬品規則のDivision 28によって規制される新種食品として、遺伝子組み換え食品に対する責任を負っています。遺伝子組み換え食品は、市場導入前に資料を提出することが義務付けられており、新規食品局(Novel Foods Office)が科学的に安全性評価を行っています。 2001年カナダ王立協会専門委員会報告「基本的予防措置:カナダの食品バイオテクノロジー規制に対する提案」に応えて、カナダ政府は規制の強化を視野に入れた行動計画を作成しました。技術の進展に対応するために、HCはコーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会が作成したリスク分析原則と安全性評価指針を反映させるべく、1994年の植物および微生物由来の新規食品の安全性評価に関する指針を改正しました。


【表示】
HCとCFIAは共同で、食品医薬品規則に基づくカナダの食品表示政策を担っています。表示は、米国と同様に栄養組成が従来のものと異なる場合に義務付けられていましたが、2004年4月15日、カナダ政府は遺伝子組み換え原料を使用しているか否かの食品表示および広告を自主的に行うことに関する基準を、カナダの国家規格としてカナダ規格審査会が公式採用したことを発表しています。

ブラジル

ブラジル連邦共和国はラテンアメリカで、アルゼンチン共和国の次に積極的に植物バイオテクノロジーを導入している国です。2008年に遺伝子組み換え大豆、トウモロコシ、ワタが1580万ヘクタールで栽培され、遺伝子組み換え作物の作付け面積では世界第3位です。
開放系実験や商業栽培には、各州の環境担当機関との事前調整ののち、科学技術省国家バイオテクノロジー安全技術委員会(MST-CTNBio)の許可と、環境再生可能天然資源院(IBAMA)のライセンス発行が必要とされます。

アルゼンチン共和国

ラテンアメリカおよびカリブ海諸国には、遺伝子組み換え作物を積極的に導入している国がいくつかあり、近い将来、品種を増やしていこうとする動きが見られます。これら諸国の中で遺伝子組み換え技術の導入を先導しているのが、世界で最も肥沃で生産性の高い土地を有する国のひとつであるアルゼンチン共和国です。アルゼンチン共和国では、2008年に遺伝子組み換え大豆、ワタおよびトウモロコシが2,100万ヘクタールで栽培され、作付け面積ではアメリカに次ぐ世界第2位でした。アルゼンチン共和国で生産される大豆のほぼ100%が除草剤耐性遺伝子組み換え品種です。アルゼンチン共和国農牧水産庁(SAGyP)は遺伝子組み換え作物の圃場試験、限定的放出および商業的利用を全体的に規制する責任を負っています。農業バイオテクノロジー国家諮問委員会(CONABIA)は、認可のための素材として科学的環境リスク評価を農牧水産食糧庁(SAGPyA)の要請に基づいて提供します。遺伝子組み換え作物の圃場試験を十分に行った時点で、申請者は特定用途(輸出、品種登録までの商業生産前栽培など)に限定した作付けの承認を求めることができます。CONABIAは、遺伝子組み換え作物のヒトの健康および環境に対する潜在的な危険性を評価します。 食品安全性に関する現行の承認ガイドラインは、SENASA(アルゼンチン共和国保健衛生・農業食品品質管理局National Service of Health and Agrofood Quality)が実質的同等性の概念に基づいて作成したものです。商品化の申請はCONABIAが審査し、SAGPyAに対して承認または却下を提言します。商品化の申請が認可された場合、申請者はGM食品の安全性に対する責任の他に、その品質を監視する責任を負います。承認は定期的に見直されます。 農業食品マーケティング理事会(DNMA: The Directorate of Agri-Food Marketing)は、アルゼンチン共和国の農家にGM作物の種子を販売できる企業を決定します。申請者はINASE(国立種子研究所)に新品種登録を申請しなければなりません。病害虫抵抗性および除草剤耐性作物の商品化には、SENASAの特定の認可が求められます。

大韓民国

韓国は輸入に限って3系列、草剤耐性トウモロコシ(2002年)、ヨーロッパアワノメイガ害虫抵抗性トウモロコシ(2002年)および除草剤耐性大豆(2000年)を認可しています。また、トウガラシ(ウイルス抵抗性)とタバコ(ウイルス抵抗性)の圃場試験が行われています。 現在までの取り組みはこのように限られたものですが、韓国は将来のバイオテクノロジーとロボット工学への資金提供として、1億ドルをかけた20年計画「21世紀研究プログラム」に着手しています。 安全性については、KFDA(食品医薬品安全庁)が、遺伝子組み換え作物の安全性審査を義務付けています。


【表示】
遺伝子組み換え食品の表示制度については、2001年3月からは作物、7月からは加工食品26品目について実施しています。対象品目において、遺伝子組み換えを使っている場合は「遺伝子組み換え」または「遺伝子組み換え○○を含む」旨を表示しなければならないことになっています。なお、IPハンドリングを行った場合に、最大3%までは遺伝子組み換え作物が(意図的でなければ)混ざっても良いとしており、今後は検査技術の精密度や国際動向などを考慮し、順次1%水準にまで引き下げるとしています。  また「遺伝子組み換えでない」と表示できるのは、遺伝子組み換えの混入が検出できる限界の値より低い場合だけとなります。

オーストラリア連邦・ニュージーランド

オーストラリア連邦・ニュージーランドは科学分野でも商業分野でも非常に積極的にバイオテクノロジーに取り組んでいます。中でも遺伝子組み換えワタの栽培が広がっており、2004~2005年には20万ヘクタールに作付けされました。これは、国内のワタ全作付面積の85%を占めています。また、ワタ以外にも、ナタネ、カーネーションなどの遺伝子組み換え作物が栽培されています。 
オーストラリアでは2000年に遺伝子組み換え作物に関わる法律として「遺伝子技術法(GT法)」が成立し、具体的な規定を決めた施行規則(GT規制)とともに施行されました。GT法に基づき、遺伝子技術規制局(OGTR)によって研究開発、栽培、輸入の免許の交付が行われます。原則として、環境へ放出されるものはすべてOGTRの許可が必要になります。また食品としての安全性は、オーストラリア・NZ共通食品基準規範のもと、オーストラリア・NZ食品基準局(FSANZ)が評価等の実施を担当し、オーストラリア・NZ食品基準審議会(ANZFSC)が最終承認を行います。
ニュージーランドは2003年10月29日、遺伝子組み換え生物承認の一時停止措置(モラトリアム)を解除し、遺伝子組み換え生物を扱う主たる法律である有害性物質・新規生物法1996の修正条項を発効しました。旧法下では、完全承認か却下しか選択肢がありませんでしたが、この修正により「条件付き放出」というカテゴリーが導入されました。新法下では、環境危険管理委員会(Environmental Risk Management Authority)が遺伝子組み換え生物の放出を個別に取り締まることが可能になります。


【表示】
オーストラリア・ニュージーランド食品安全局(ANFZA)では、両国の食品の規格や表示の基準を一緒に策定しています。また、すべての遺伝子組み換え食品の申請を個別に評価する責任を負っています。  オーストラリア・ニュージーランド食品基準規範(Australia New Zealand Food Standards Code)が、遺伝子組み換え食品の販売を規制していて、基準1.5.2(1999年制定、2000年修正)は、(1)市場導入前の安全性評価の義務および(2)ラベル表示の義務を規定しています。  2001年12月から、遺伝子組み換え由来の作物および加工食品について表示が義務付けられました。そのうち、組み込まれたDNAや、それによってつくられるタンパク質が製品中に残らない植物油や砂糖などの加工食品には表示する必要はないとされています。ただし、組み換えによって成分や特性に変化が見られる場合は表示が義務づけられています。 なお、分別された非組み換え原材料を使用している場合に、表示として組み換えではない旨の「非組み換え」「GMフリー」「Non-GM」等の表示をすることは、検出される可能性がまったくないといえる場合以外は表示できないことになっています。分別されていても、実際には組み換え材料が混ざってしまうことは避けられませんので、基本的に「非組み換え」等の表示は許されていないということを意味しています。

EU(欧州連合)

2002年10月に施行された「2001/18/EC 遺伝子組み換え体の意図的環境放出に関するEC指令」に基づき、遺伝子組み換え生物の安全性を確認しています。商品化にあたっては、まず、市場導入する国に申請して安全性の確認を受けます。その後、他の加盟国とEUによって安全性審査を受けます。 2002年7月には、欧州議会に於いて遺伝子組み換え食品および飼料について、表示やトレーサビリティ(追跡可能性)に関する法案が承認されました。表示に関する法案では、遺伝子組み換え食品の表示義務を全ての食品と飼料、添加物へ拡大したもので、2002年11月に農相理事会に送られて、合意されました。  また、トレーサビリティ等に関する法案については2002年12月に開催された環境相理事会において、承認され、その後2003年に食品・資料規制および表示・トレーサビリティ規制が成立しました。
2002年には、欧州食品安全機関(EFSA)が設立され、同じく2003年からはそのGMOパネルにて遺伝子組み換え作物に関するリスク評価を行っています。


【表示】
遺伝子組み換えに関する表示は、遺伝子組み換え体に由来するDNAやそのDNAがつくるタンパク質が、最終製品中に存在するか否かにかかわらず、遺伝子組み換え体から生成されたすべての食品に義務付けられます。これにより、従来の制度では表示する必要のなかった、油のような加工食品や、食品添加物、飼料などについても新たに表示が義務付けられることになりました。 表示の方法は、"この製品は、遺伝子組み換え体を含む"または"…遺伝子組み換え(作物名)から製造"と記することが義務付けられます。ただし、米国と同様に「遺伝子組み換え作物は含まれていない」、「遺伝子組み換え不使用」などの表示は認められていません。 また、承認を得ている作物については、分別していても偶発的に組み換え体が混ざってしまった場合、このようないわゆる意図せざる混入について、0.9%を上限とすることが採択されました。 このように基準を設けると共に、閣僚理事会は新たに、EUでは承認されていない遺伝子組み換え作物でも、EUの科学的リスク評価で肯定的な決定が出されている作物ならば、意図的でなければ0.5%までの混入を認めることとしました。

中華人民共和国

中国は遺伝子組み換え技術の導入に積極的で、2004年、中国は370万ヘクタールに遺伝子組み換えの害虫抵抗性ワタを作付けしました。これは国内のワタの66%に相当します。  2003年12月、中国は米国の遺伝子組み換え大豆の輸入を認可すると発表し、2004年4月には4品種のトウモロコシと7品種のカノーラを認可しました。
2001年に「農業遺伝子組み換え生物安全管理条例」が公布され、農業部、衛生部、科学技術部、国家環境保護総局、国家品質監督検疫総局、対外貿易経済協力部、国家発展計画委員会の7省庁の代表者で構成する「遺伝子組み換え生物の安全管理部門間合同会議制度」で協議されることになりました。また、農業部には「農業遺伝子組み換え生物安全委員会」が設置され、専門的な観点による安全評価を行うこととなっています。
安全性評価は、実験室レベルでの試験以降、「中間試験」「環境放出試験」「生産性試験」の3ステップで審査され、それぞれのステップへ進むためには、農業部への申請が必要になります。「生産性試験」の審査後に、農業部へ安全証明を申請し認可されると、安全証明書が交付されますが、安全証明書の有効期限は一般に5年を超えないものとされています。具体的な評価では、導入遺伝子や導入方法など総合的な評価から、4段階の安全性評価(「危険性なし」~「高度の危険性」) が判断されます。
輸入品の安全性規制については、使用目的に応じてさまざまな承認手順(通関許可、試験、安全性評価)があり、最終決定は農業部が行います。


【表示】
遺伝子組み換え体や組み換え体に由来する原料から製造した食品には表示が求められることになります。現在は、大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、トマトなどが表示対象リストにあがっています。 最終的には、食品の製造業者や加工業者の監視システムを導入することを目的としています。

インド

インドでは20以上の学術機関や研究機関、7つの民間企業が遺伝子組み換え作物に取り組んでいるとインド・バイオテック・コンソーシアム(Biotech Consortium India Ltd.)は報告しており、ワタ、緑豆およびトマトのウイルス抵抗性、イネ真菌病に対する抵抗性およびジャガイモの栄養改善など、活発に研究されています。2002年3月に認可された害虫抵抗性ワタは、従来品種と比較して平均30%の収量の増大が見込まれると報告されています。 安全性については、生物工学局(DBT)内の遺伝子操作審査委員会(RCGM)が、遺伝子組み換え生物が関与している進行中の研究プロジェクトおよび活動の安全性の監視と、GMOの生産、販売、輸入および使用を制限または禁止する手順を定める責任を負っています。 RCGMはまた、遺伝子組み換え生物の輸入・通関手続きの責任も負っています。 環境森林省(MEF)下の遺伝子組み換え承認委員会(GEAC)は、圃場試験を含む遺伝子組み換え作物とその製品の環境への放出についての申請に対する承認責任を負っています。 インド政府は、現在はさまざまな段階でこの分野を管理している複数の管轄局に代わる取締機関を設置する方向です。